管理費滞納請求に関するマンション管理会社(マンション管理業者)の責務と対応方法

マンション管理

管理費滞納の場合、マンション管理会社(マンション管理業者のことを言いますが、本頁では「マンション管理会社」に表現を統一します。)が代行して請求することが可能ですが、これは以下のように理由によります。区分所有マンションの管理組合で、非常によく起こる問題で、日常的によく起こりうる問題なので今回は、根拠規定と対応について解説します。

未収金(滞納管理費等)の請求

修繕積立金や管理費等の未納分は、マンション管理会計上は未収金として計上します。

この「未収金」に対する管理会社の取扱いですが、管理組合がマンションの管理会社に管理業務を委託している場合には、管理会社の受託業務として、管理委託契約書に管理費等滞納者に対する業務が明記されている場合が多いと解されます。

国土交通省の標準管理委託契約書に以下の通り記載があります。

(管理費等滞納者に対する督促)

第十条 乙は、第三条第一号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲の組合員に対し別表第一1(2)②の督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。

2前項の場合において、甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方法について協議するものとする。

別表 ②管理費等滞納者に対する督促

一毎月、甲の組合員の管理費等の滞納状況を、甲に報告する。

二甲の組合員が管理費等を滞納したときは、支払期限後○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。

三二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、乙はその業務を終了する。

国土交通省 標準管理規約

なお、標準管理委託契約書のコメントによると、「弁護士法第 72 条の規定を踏まえ、債権回収はあくまで管理組合が行うものであることに留意し、第2項のマンション管理業者の協力について、事前に協議が整っている場合は、協力内容(甲の名義による配達証明付内容証明郵便による督促等)、費用の負担等に関し、具体的に規定するものとする。

とあります。「弁護士法第72条」とは、

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法72条

というものです。

区分所有法の指導原理は「自分たちのマンションは自分たちで管理する。その管理の主体はマンション管理組合である」という風に解釈できます。

そして、国土交通省の標準管理規約においても「区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、「管理費等」を管理組合に納入しなければならない。」と明記されており、管理費の納付は、区分所有者の義務として定められています。

つまり、管理費等の支払い関係は、

マンション管理組合が債権者

区分所有者個人が債務者

あることは明白です。

マンション管理会社(管理業者)の責務

債権債務の関係では当事者間の問題になるので、債権者であるマンション管理組合から委託されているとはいえ、第三者であるマンション管理会社はあくまでも「督促」しかできないと解されます。少なくとも標準管理規約上は、報酬を伴う「回収」業務はできません。上記の通り、マンション管理会社は弁護士法72条に抵触するような債権回収の代理はできないのです。

つまり、管理費の未納について、管理組合は原則として、管理会社に責任を問うことはできないでしょう。

まとめ

  1. 管理費等の未収問題は、あくまでも管理組合が主体
  2. 管理会社は第三者的な立場で、できる範囲の「督促」を行う
  3. 督促の趣旨は、管理費等を滞納している区分所有者に滞納の事実を伝え、認識させ、自主的に支払いを促す(協力を求める)こと

と認識すべきでしょう。

督促の効果

管理会社の「督促」は後に裁判等に発展した際には、十分な裁判資料になります。特に内容証明郵便での督促などは、裁判資料としては特に有効な証明となります(内容証明郵便の作成については、弁護士が行うほか、契約している管理会社が実費で行う、行政書士が報酬を得て作成と郵送を行うことは可能です。)。

この管理会社による督促ですが、標準管理委託契約書にも記載のとおり、

数か月間において、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により督促を行うものであり、無期限によるものではありません。6か月程度が目安でしょう。

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