少額訴訟|管理費滞納がある程度膨らんでしまった場合の対応策

マンション管理

管理費滞納額が膨らみ、数十万円単位になった場合、内容証明等で督促したとしても、支払われない場合が多いと思います。支払わないというよりも、滞納額が高額になり支払えないといった方がよいかもしれませんが、滞納額が60万円以下であれば「少額訴訟」が考えられます。

少額訴訟の特徴

  • 1回で審理で判決が出る。
  • 60万円以下の金銭の支払を求める場合に限る。※遅延損害金などを含めて60万円超となってしまってもそれは少額訴訟の範疇です。
  • 原告の主張が認められる場合でも、分割払や支払猶予、遅延損害金免除の判決が出されることもあり。
  • 訴訟の途中で「和解」となるケースあり➡和解調書に基づき「強制執行」を申立て可(※少額訴訟の判決、調書等については、判決が出た簡易裁判所でも給料、預金などに対する「少額訴訟債権執行」を申立て可
  • 少額訴訟判決に対する不服申立ては異議の申立てに限られる➡控訴はできない。
  • 同じ案件(同当事者、同裁判所)に対しては年10回まで。

少額の滞納管理費を請求をする場合は、少額訴訟がおすすめですが、債権額(訴額)は60万円以下と定められています(※以前は、30蔓延が上限でしたが、平成16年4月に60万円に引上げられました。)。そして、債権者側が債務者相手に裁判を起こす場合、訴訟代理人は弁護士のみだったのですが、司法書士でも可能です。

かつては、その費用の負担感が大きいものになっていましたが、内容が複雑ではないので、極論から言えば、管理組合自身でも申し立てができる場合も多いでしょう。

少額訴訟の流れ

出典 法務省ホームページ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-2.html

①  訴状の提出:被告の住所地又は規約(や契約書)で指定された管轄する簡易裁判所に訴状提出

②  期日の連絡:期日の連絡があります。なお、裁判所の要求によって、事実関係の確認、追加の証拠書類の提出などを行う場合あり。

③  答弁書の受取り:管理費等滞納者が提出した答弁書が届けられます。先方の代理人が弁護士の場合もあり、通常は、答弁書には理由・反論が書かれています。

④  法廷での審理:原告・被告・裁判官・書記官などが出席して審理されます。審理は短時間で終了、本訴訟の場合のように長いものでFありません。審理は証拠確認などが行われます。※場合によっては審理の場で話し合いによる和解が成立する可能性もあります(被告が、事実を容認し支払い意思を呈した場合など)。

⑤  判決:原則として審理終了後に判決が出ます。

※注意

”勝訴判決=債権回収できる”ということではありません

※少額訴訟では、原告勝訴率90超といわれていますので、利用する意味は大いにありますが、判決と債権の回収は別で、判決が出たからと言って、簡単に滞納管理費が支払われるものではありません。

裁判所から分割払案や支払猶予などを求めてくる場合もあれば、判決だけもらったとしても、管理組合が差し押さえる講座や財産を、自ら調べらければなりませんので、口座を知っている場合はともかくとして、自己で差し押さえるのは、難しい場合があります。

しかし、判決がない場合は、差し押さえすらできませんので、まずは、少額訴訟で勝訴判決を得ることが、非常に重要です。

少額訴訟のメリット

①  手続きが簡単

少額訴訟に関しては、弁護士等の法律の専門の代理が望ましいですが、内容が定型的であり、それほどの法律知識がない場合でも訴状を作成可能。

②  費用が安く・すぐに判決

申立➡審理➡判決まで、約2ヶ月ほどで、短期で判決が出る場合がほとんどです。原則として審理は1回で、その日のうちに判決が出ます。通常の訴訟のように、裁判所に何回も行く必要はありませんので、たとえ、管理組合自身で申し立てたとしても、拘束時間が短くてすみます。

③  強制執行可能

少額訴訟裁判の勝訴判決の際、仮執行宣言が付けられますので、本訴訟同様、差し押さえができます。

少額訴訟の限界

①管理費滞納者の同意が必要

管理組合が少額訴訟手続きの審理を希望しても、管理費等滞納者(区分所有者)の同意がない場合は、少額訴訟を行うことはできません。

②住所不明の場合、申立て(提訴)ができない

また、少額訴訟は管轄簡易裁判所で行われますが、規約に記載されている場合はその裁判所に申し立てます(通常「合意管轄」、「専属的合意管轄裁判所」などの記載がある場合。※規約を作る場合、記載を推奨します。)。

管理規約に簡易裁判所の管轄が明記されていない場合は、管理費等滞納区分所有者の住所地を管轄する簡易裁判所が管轄となります。したがって、滞納区分所有者の住所が引っ越しなどで不明な場合、管轄の簡易裁判所が決まらず、少額訴訟ができないということになる場合が多いです。

参考条文

(少額訴訟の要件等)

第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。 2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。

3 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。

(反訴の禁止)

第三百六十九条 少額訴訟においては、反訴を提起することができない。 (一期日審理の原則) 第三百七十条 少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。

2 当事者は、前項の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。ただし、口頭弁論が続行されたときは、この限りでない。

(証拠調べの制限)

第三百七十一条 証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。 (証人等の尋問) 第三百七十二条 証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。

2 証人又は当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序でする。

3 裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人を尋問することができる。

(通常の手続への移行)

第三百七十三条 被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。

2 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。

3 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。

一 第三百六十八条第一項の規定に違反して少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。

二 第三百六十八条第三項の規定によってすべき届出を相当の期間を定めて命じた場合において、その届出がないとき。

三 公示送達によらなければ被告に対する最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しをすることができないとき。

四 少額訴訟により審理及び裁判をするのを相当でないと認めるとき。

4 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

5 訴訟が通常の手続に移行したときは、少額訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。

(判決の言渡し)

第三百七十四条 判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。

2 前項の場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。この場合においては、第二百五十四条第二項及び第二百五十五条の規定を準用する。

(判決による支払の猶予)

第三百七十五条 裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。

2 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。

3 前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(仮執行の宣言) 第三百七十六条 請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。

2 第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。

(控訴の禁止)

第三百七十七条 少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。 (異議) 第三百七十八条 少額訴訟の終局判決に対しては、判決書又は第二百五十四条第二項(第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。

2 第三百五十八条から第三百六十条までの規定は、前項の異議について準用する。

(異議後の審理及び裁判) 第三百七十九条 適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。

2 第三百六十二条、第三百六十三条、第三百六十九条、第三百七十二条第二項及び第三百七十五条の規定は、前項の審理及び裁判について準用する。

(異議後の判決に対する不服申立て)

第三百八十条 第三百七十八条第二項において準用する第三百五十九条又は前条第一項の規定によってした終局判決に対しては、控訴をすることができない。

2 第三百二十七条の規定は、前項の終局判決について準用する。

(過料)

第三百八十一条 少額訴訟による審理及び裁判を求めた者が第三百六十八条第三項の回数について虚偽の届出をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。

2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

3 第百八十九条の規定は、第一項の規定による過料の裁判について準用する。

民事訴訟法  第六編 少額訴訟に関する特則 抜粋 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=408AC0000000109#1755

総括

今回は、少額訴訟について解説しましたが、60万円以下の滞納額の場合、非常に便利な方法で、滞納者のためにも、滞納額が50くらいで、判決を得ておくのがよいでしょう。数百万の滞納額になると、本訴訟になり、この場合、競売により、マンションを失うことになる場合もあり、そうなる前に少額訴訟で判決を得ることで、結果的に滞納区分所有者自身のためにも有効ではないでしょうか?

なお、少額訴訟のほかに、支払督促という方法もあり、どちらが有効が比較するとよいでしょう!!

コメント

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